#020 有田焼というメディアを持った町
December 16, 2016 - Michiyuki ISHITA
私は有田の隣町・波佐見町出身で、高校3年間を有田(有田工業高校)で過ごしました。その為焼き物や磁器というのがあまりにも身近で、当時は周囲の自然と同様に空気の様な存在と感じていました。卒業後は東京の美術大学で過ごしましたので、この地場産業よりは外の世界を意識していました。その身近なものの「価値」は意識の外からもたらされることが多く、私の場合は東京へ出てから有田焼や波佐見焼を目にしたり、周囲から有田についての話を聞いたりした時です。また一時期は海外で暮らしたこともありましたが、その時には「日本」というものにも新たな価値や視点がもたらされました。
普段はプロジェクションマッピング等の映像を中心とした空間演出やメディアアートなどを手がけていますが、近年の大事なクリエイションスタイルとしてメディアミックス(ミクスドメディア)があります。1つの手法や、単体で何かを見せるのではなく、複数のメディアや技術を融合させ、これまでにない価値創出や視点をもたらすというものです。
「有田焼」というメディアに様々な別メディアを「掛け算」することでどんなアップデートを見出すことができるでしょうか? 現在は有田焼の「物」としての存在がこの地域の価値となっていますが、この「点」となっている有田焼に歴史や文化(他地域も含めた)、人や自然、そして他のメディアと結びつけて「線」〜「面」として紡ぎ、さらにそれを積み重ねて「厚み」を持たせる。そんな立体的な仕掛けやビジョンを描いていくことができたらと考えると、とてもワクワクしてしまいます。そう故郷に想いを馳せながら、有田と波佐見の共同で行うプロジェクションマッピング等の大きな仕掛けがしたいなと密かに思っている今日この頃です。