#009 有田を通じて見る世界、今、昔。
August 28, 2015 - Keisuke Otani
数年前に初めて九州陶磁器文化館を訪れた際に、柴田夫妻コレクションを目にした際の感動は今でも忘れられません。当時は感覚的に器を通じて知る時代絵巻を眺めていましたが、有田を知れば知る程、そこから先に広がる風景が見えてきます。
様々な日本のものづくりの産地を訪問し、産地の方々や風景に触れれば触れる程、その風土こそがものづくりのアイデンティティになっている事を感じます。有田で言えば400年前と変わらない風景、変わっている風景。この変化の一つ一つの歩みこそが今の有田の風土を培っており、この環境の中で人々が受け継いできている気質が職人のつくるモノへ表れていきます。
出島を通じて海路でヨーロッパに渡っていった有田焼の時代から、航空便で海外の人々の手に渡っていく現代の有田焼。それを手掛ける人達の心意気は、時代や環境は変われど同じだったのではないか?そして、次の400年の為に力を尽くす人達の心意気は400年先の人達も同じ様に感じてくれるのではないか?
一つ確信しているのは、その心意気が伝わっているからこそ今も昔も世界の人々に有田焼が求められているという事。それは有田の風土がもたらす賜物であるという事。そんな風に思いながら、有田を世界に伝えていく事に携わらせて頂いています。