有田焼創業400年事業 - 佐賀県が取り組む17のプロジェクト - ARITA EPISODE2 - 400 YEARS OF PORCELAIN. NEW BEGINNING. -
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有田焼にまつわる物語

#004 400年の歴史の中で一番くだらない図柄の有田焼
June 05, 2015 - Hidetoshi Kuranari

有田町のフリーペーパー「アリタノヒビキ」。読んだことあります?作り手のパーソナルな思いがすごく伝わってくる(まさに有田焼のように!)とてもいい雑誌なので、ぜひどこかで手に取ってみてほしいんですが、その中でも一番好きなコーナーが「私の一品」。毎月誰かが登場し、自分が持っている有田焼の中で一番大切な一品を紹介するというもの。さすが有田町、出演者がほとんど器関係者なので、それはそれは、お宝だなあ、、という物が毎月拝めるのでそのままでもいいのですが、有田焼創業400年に向かってはせっかくだから、佐賀県民いろんな人の私の一品が見てみたいなあと勝手に思いを馳せていました。知事とか、旅館とか、レストランとか。サガン鳥栖の選手とか、はたまた唐津焼の方が持ってらっしゃる有田焼とか。ね、見てみたくないですか?

そう言い出したからには先駆けて、言い出しっぺの僕からこの場で、私の「私の一品」披露したいと思います。ずーっと実家の戸棚に眠っていたものです。これです。

絵柄は、宇宙。器は手のひらの中の宇宙だ、とか言いますが、そういう意味じゃなくて、柄のモチーフが宇宙ってことですね(そういう意味でもいいですけど)。巨大なパチンコで石を飛ばしてUFOに当たっています。UFOにはたんこぶが。それを見た太陽が「ばーか」と叫んでいるという、壮大な有田焼。これ。高いです。10万円。値段自体が絵柄として器に書いてあります。

だれが作ったかというと、まさにバカを披露するようなものですが、小学校5年生の時の僕。僕の出身、佐賀市の小学校では遠足で有田に行って絵付け体験をするというのがあったんですね。絵を描いて、その後、送られてくるという。その時のもの。

今になってこそ思えますが、いいですね、こういうの。器はタイムマシン。28年前の自分のバカさ含めて、なんというか、いろんなものが保存されてる。「器は、大事に使えば、孫の代にも、ひ孫の代にも、引き継げるのです。」ってよく言われるように、200年経っても、300年経っても、きっと残ってるんでしょう。子孫がみたら、きっと、ああ、いまの俺がバカなのは祖先がバカだからしょうがない、って勇気を与えるかもしれませんね。

おそらくこれ、400年の歴史の中で一番くだらない図柄の有田焼なんじゃないでしょうか。作品名は「染付宇宙UFO紋湯呑」とかいうのかな。

九州陶磁館様、収蔵の依頼、お待ちしております。

Author

倉成 英俊
電通総研 Bチーム代表/クリエーティブディレクター

1975年佐賀県佐賀市生まれ。電通総研 Bチーム代表/クリエーティブディレクター。広告クリエーティブのスキルを拡大応用し、Japan APEC 2010や東京モーターショー2011再復活の総合プロデュースからシリコンバレーのスタートアップの支援まで、大/小/ジャンル問わず、「気の合う人と意味あること」を創ることを目指している。バルセロナのMarti Guixeより日本人初のex-designerに認定される。

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