有田焼創業400年事業 - 佐賀県が取り組む17のプロジェクト - ARITA EPISODE2 - 400 YEARS OF PORCELAIN. NEW BEGINNING. -
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プロユースプロジェクト - NEW ARITA 400 “educe” プロジェクト - report 3

有田焼のエポックたる器。「ARITA×NOBU」が目指すもの。

世界的に知られた和食のシェフ(料理人)の松久信幸(通称NOBU)氏と、有田焼の窯元7社で共同開発した器(うつわ)のブランド「ARITA×NOBU」。料理人と一緒に創り上げるカスタムメイドの器(うつわ)を生みだすことで迎えた、職人と窯元、そして有田焼のエポック(新時代)とは。

July 29, 2016
文: 宮崎 伸介

世界の食を変える、料理と器の「和」スタイル

日本には「様(よう)」「風」「好み」といったスタイルを表現する言葉が多く存在する。地域や風土、家と人が育んできた多様なスタイルを表現する日本の「様」「風」は、欧米ではモードやブランドとして捉えられる。例えばジャポニズムと呼ばれた日本趣味は、モードとして受け入れられ普遍化したものであるし、和風の食≒和食は、今や世界のモードとなり、料理人もブランドとして認められている。世界5大陸の17か国でレストランを運営する松久信幸氏は、和食を「NOBU」として世界に広めたシェフの第一人者だ。

2016年2月2日、この松久氏のヨーロッパ旗艦レストランであるNOBUロンドンで、松久氏と有田焼窯元の職人たちが共同開発した器「ARITA×NOBU(アリタ・ノブ)」が発表された。和食は「器で食べさせる」といわれるほどに和食器は種類が多く複雑だが、このいわばNOBU好みの器の誕生は、400年にわたり多様で豊富な種類の器を作り続けてきた有田の窯元においても、新たな挑戦だ。

発表会

器を作ること・使うことへの「固定概念」を打ち消す

ARITA×NOBUを共同開発したのは、吉右ヱ門製陶所、末村窯業、徳幸、原重製陶所、福珠陶苑、やま平窯元、李荘窯業所の窯元7社と貴好人、松華堂の商社2社によるグループ。このプロジェクトの先駆けであり、プロユースの食器開発を担う精鋭チームである「ARITA PLUS(アリタプラス)」の活動が契機となったものだ。ARITA PLUSはもともと窯元5社で2009年から活動してきたPRODUCT ARITAが原点。香港で行われた国際見本市への出展以来、新商品を開発し国際見本市への出展を続けてきた。海外でレストランや食器のトレンド、日本人のシェフの活躍を眼前にすると、料理と器がボーダレスであることを実感した。「海外のレストランで使われている食器となると、サイズや絵柄が規格化されたプレートだと思いがちだが、実際のトレンドは小さめの小鉢だったり土ものだったり形も素材も様々。器に対する固定概念がない。出展を続けていくなかでシェフとの関わりが生まれてくると『器をどこに頼めばいいか分からない』といった声をよく聞くようになる。シェフとのつながりが深まれば、わざわざ有田に来てもらえるし、工房をみてもらったり、歴史的な話や技術的な話などをしていくなかで、その場で商品を注文してくれることも多い(徳幸窯・徳永弘幸氏、以下同)」。

今回のプロジェクトで松久氏から提示されたテーマは「和を表現する」こと。「有田の伝統的な赤を使う」「角のない形状にする」、表面に光沢があると料理をサーブするスタッフの指紋が目立つ、といった理由での「指紋のつきにくい仕様」といった要望。サンプルの確認でも器の底(高台)にミリ単位の指示が入る繊細さだった。

「世界のトップを走る人のスピード感、モノづくりに妥協しない姿勢、ユーザーの顔を見つめること。学んだことはとてつもなく大きい。そして職人たち窯元たちが前向きになれたこと。今回のプロジェクトには『人材を育成する』という隠れたテーマがあった。逆境からいいモノを作る面白さ。若い人たちにもこの面白さを知ってほしい」。

ARITA x NOBU
徳永氏

技術もノウハウも「オープンに伝えていく」こと

ARITA PLUSのミッションは「世界中のシェフのニーズに応えることで、有田焼産地全体の仕事が増えること」。今回のARITA×NOBUでも、開発した釉薬の調合をオープンにし、産地内で共有化した。個々の窯元のためのプロジェクトでなく、有田焼全体の技術を向上させることがプロジェクトの本義だ。「ARITA PLUSの小さな取り組みから始まったことだが、今、有田焼の次代を担う40代の意識が変わって来た。企画の段階から参加するものづくりの楽しさや難しさ、海外への物流や商流、ユーザーのオーダーにレスポンスよく応えるための商品管理など『商売の基本』に気付く。気づいた者から伸びていき、それが産地内で広がっていく。ARITA×NOBUが有田焼の転換点になるのでは」。

海外からのARITA×NOBUへのオファーも既に始まり、有田焼の認知度の高まりが実感できるようになってきた。器も食も時代や文化とともに進歩するものであればこそ、ARITA×NOBUという有田焼「ブランド」が、いずれは世界の料理のモードとなることを願い、有田焼のエポックとなることを望む。

「ARITA×NOBUプロジェクト」Webサイト http://matsuhisa-japan.com/aritanobu/

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