有田焼創業400年事業 - 佐賀県が取り組む17のプロジェクト - ARITA EPISODE2 - 400 YEARS OF PORCELAIN. NEW BEGINNING. -
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有田焼創業400年事業の最新情報をお届けします

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ARITA SELECTION report 1

手のひらに載る豆皿からできること。国内での新たなファンづくり。

有田でも1640年ごろから数多く生産されてきた三寸(約10センチ)前後の豆皿は、広く日本の食卓を彩って来た馴染みの深いうつわ。この豆皿から「有田焼」と有田の新たなファンを掴む「ARITA SELECTION」とは。

November 27, 2015
文: 宮崎 伸介

「既にあるもの」をどう魅せるか―。注目したのは「豆皿」

外部の有識者や産地の事業者・関係者が一緒になって議論し、伊万里・有田焼産地から新たな価値を創造していくために語り合う「ARITA VALUE CREATION LAB -有田焼価値創造研究処-」(通称:アリラボ)。このアリラボでは、「ARITA EPISODE 2」の各プロジェクトの成果等を共有しながら、産地全体の活性化につなげるための中間報告会が定期的に開催されている。2015年8月19日の中間報告会では、「ARITA SELECTION」の取り組みが紹介された。

ARITA SELECTION は「既にあるもの」をデザインして、これまで注目されることがなかった人やモノをどう魅せるか、をコンセプトとするプロジェクトである。このプロジェクトで注目したのは「豆皿」。豆皿には、丸や楕円のほか、カメやウサギなど動物の形から富士山型などもあり、柄もモダンから伝統的な文様まで様々。これまで有田焼を知らなかった・使わなかった人々への「きっかけ」となるアイテムとして設定した。

豆皿

イベントと冊子で魅力を訴求し、消費者の反応を見る

2015年6月10日から7日間、東京の伊勢丹新宿店において、有田焼の26の窯元による147種の豆皿セレクションの展示販売イベントが開催された。価格も460円から3万円と幅広い有田焼の窯元の豆皿がひとつの大きな売り場に集合することは、史上初の試みだ。販売もショップに全て任せるのではなく、3社の地元商社が自ら店頭に立って紹介し、消費者のダイレクトな反応を伺った。イベントは伊勢丹新宿店が発行する約30万枚のDMや同店のリリースを契機に、雑誌やWEBに記事が掲載された効果もあり、7日間で約3000枚が売れるほどの盛況ぶり。バイヤーも「種類が多く選ぶのが楽しいと好評で、外国人観光客のまとめ買いもあった」とコメント。その後も代官山の蔦屋書店をはじめ、湘南のギャラリーなど現在までに4か所で同様のイベントを開催し、いずれも反応は上々だ。

そしてこの豆皿の手引書として作られたのが「きんしゃい有田豆皿紀行」と題した冊子だ。「きんしゃい有田豆皿紀行」では、豆皿の歴史や成り立ちはもとより、それぞれに個性が異なる窯元当主の人柄・魅力を紹介。さまざまな様式の豆皿が原寸写真で楽しめるほか、有田という産地を紹介するコラムも充実し、WEBサイトも展開する。2015年6月の発行以来、バイヤーからの豆皿への引き合いも続き、豆皿を直接窯元へ購入に来るファンも増えつつあるという。いずれも豆皿を手に取りたくなる「仕掛け」づくりの一環であることはもとより、更にインバウンドとしての「産業観光」への昇華を狙う試みである。

伊勢丹新宿店
きんしゃい有田豆皿紀行

「作る」と「売る」のプロが一緒に知恵を絞る産地へ

このARITA SELECTIONを監修するのは、ものづくりから流通・販売までをトータルでデザインするデザインプロデューサーの名児耶秀美氏。「有田焼には素晴らしい製品がたくさんある。新製品をつくらなくても今あるモノのコンセプトメイキングと、売るための仕掛けをしっかりと構築すれば、売れることを示せた」と語る。

「新宿伊勢丹のイベントに参加した有田の商社のみなさんも、自らが消費者に直接販売をすることで、消費者の反応をダイレクトに窯元に伝えることができる、と気づいた。これまでの有田焼は産地問屋が消費地問屋に卸して販売するスタイルが主流で、産地問屋が直接消費者に接する機会がなかった。これからは、産地問屋が消費地に出向くことで多くの情報を得ながら消費者の反応を見ることも必要ではないか。有田という産地は『作る』ことが大好きな方が多い。しかし作る情熱があっても足りないのは『売る』力で、産地の商社の役割はとても大きい。有田の商社がファブレスメーカーであってもいい。消費者の手に渡るまで責任を持って商社が売る。今回の経験は次の400年への第一歩なんだ」。

今回のARITA SELECTIONの挑戦が、有田焼の作り手・売り手それぞれの立ち位置で、互いがいかに有田焼の「情報を訴求させるか」を考える経験となり、この経験の積み重ねが次の一歩に繋がることを期待したい。

特設ページ

> きんしゃい有田豆皿紀行

名児耶秀美氏

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