有田焼創業400年事業 - 佐賀県が取り組む17のプロジェクト - ARITA EPISODE2 - 400 YEARS OF PORCELAIN. NEW BEGINNING. -
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ARITA 400project report 2

出展経験をこれからに活かす。“ARITA 400project”報告会を開催。

2014年9月、パリの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」で華々しくデビューした“ARITA 400project”。この海外展示会への出展で得た情報やトレンド、ニーズといった知見を地域でシェアするための報告会が開催された。何が海外で認められ、何が課題なのか。次回への手がかりを探る。

May 15, 2015
文: 宮崎 伸介

「見積り」に「オペレーション」。戸惑いの商談

2015年3月4日、「メゾン・エ・オブジェ出展プロジェクト(ARITA 400project)報告会」が佐賀県立九州陶磁文化館にて開催された。同じく有田焼創業400年事業である"ARITA VALUE CREATION LAB(以下アリラボ)"の主催のもと、ARITA 400projectのプロデューサーを務める奥山清行氏(KEN OKUYAMA DESIGN)や参加企業8社が登壇し、アリラボの座長、下川一哉氏がコーディネートした。会場には、他の400年事業の参加事業者をはじめ、有田焼の商社・窯元、産地内外のデザイン関係者、町議や行政関係者など約100人が集まり、ARITA 400projectへの高い関心が伺えた。

会場

昨年9月の「メゾン・エ・オブジェ」初出展のブースは、「インテリア・シーン」と呼ばれるHall7のギャラリーの角地。モノトーンを基調に洗練されたデザインのブースに大判のフォトブックも配布し、来場者へ「ARITA」を印象づけた。メンバーはこれまで「集まり何かをする」という経験がなかったが、このプロジェクトを通じて個性豊かな「チーム」として出品、商談に努めた。奥山氏は「一回目の出展はいわば『顔見世興行』だが、ディストリビューターや有力な小売店などの取引先を各社少なくとも1つは見つけ、1つの商談を確実に行うこと」を目標とした。「1社との付き合いの中で、海外との取引をやってみることが重要。海外での流通の実務を勉強してもらう」。メンバーは「その場で見積りが出せなかった」「言語など海外でのオペレーションに苦慮した」「現地での価格とミニマムロッド数を明示したところ、反応が良かった」と各自の経験を紹介。奥山氏は「実質的なレスポンスは3割。今後もタフに弾を撃ち続ける努力が必要」としたうえで「出展が目標ではない。目標はあくまで『数字を獲ること』だ」と説いた。

「ARITA」の魅力を、どのように海外に伝えるか

一方メンバーからは、「有田でいう『量産技術』は、海外では『手工業』としての位置づけだ。海外で使われなくなった技術が有田には残っている」「鍋島様式への反応を見ていると、今のままでは難しいのでは」と、自らのモノづくりの立ち位置や評価に対する気付きや心境も吐露された。奥山氏も「ダミ(※)や青磁モノの反応は薄く、理解してもらいにくい。一方でその伝え方やそれぞれが持つストーリーの見せ方も重要になる。また『手作り』に価値がある訳ではなく、『手作りでしかできないモノ』に価値がある」と提言。「うつわの寸法やデザインをもう一度検討し、売れ筋のアイテムはもっと安価に設定して幅広く、フラグシップのアイテムは『特別な価値を持つアートピース』として価格を高く、ギャラリーなどで販売したい」とする。

メゾン・エ・オブジェブース
撮影:高村 佳園
商談
撮影:高村 佳園

「来年1月が本番」の心構えで挑む

奥山氏は「今年9月のメゾン・エ・オブジェへの出展は、売れ筋の商品を見つけ出す『セールスイベント』。前回よりもよい場所で現在のテーマをさらに拡大し、連続性を持たせることでARITA 400projectを印象づける。しかし来年2016年1月こそが新商品を提案する『本番』の出展。各社が持つ最高の技術を、フラグシップのアイテムとして持って行き、この時に今の有田の『世界観』を表現する」と今後のプランを紹介した。

「デザインとは『作品』づくりではなく、新たな開発への投資に対し『結果』を出すこと。いわば金融商品。ARITA 400projectをファンドとして見るならば、2016年1月でまずは成果を残さなくては先が見えない。そしてメンバーには、ARITA 400project終了後の『再来年、2017年の1月はどう出るか?』といった継続する心構えで、次の400年への『土台づくり』に励んでほしい」。

※ダミ:一般に藍色に発色する「呉須(ごす)」と呼ばれるコバルトが主成分の顔料を用いた染付(下絵付け)技法で、線ではなく面として、呉須液の量を微調整しながら色に濃淡を付け塗りこめる。有田焼では線を描く職人とダミを行う職人は別で、さまざまな手法がある。太いダミ筆を用いる技法の習得には、長い訓練が必要とされる熟練技。

奥山清行氏

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